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コラム:携帯電話割賦代金の支払いと自己破産

2024.02.05
1 はじめに

携帯電話を割賦で購入した場合、毎月、通信料と機種代金を一緒に支払うことになります。自己破産手続開始決定までの間、機種代金を支払うことについての破産手続上の問題点を説明していきます。

 

2 原則

携帯電話の割賦代金債権は、破産債権に該当します。そのため、破産者は、他の債権者と同様に、携帯電話会社に対し受任通知を発送し、申立時には債権者一覧表に割賦代金債務を載せなければなりません。

この考え方からすれば、破産者が携帯電話会社に受任通知を発送せず携割賦代金の支払いを継続した場合、偏頗弁済に該当することになりえます(破産法162条1項1号イ、162条3項)。

 

3 修正

もっとも、原則どおり、携帯電話会社に受任通知を発送し、割賦代金債務を債権者一覧表に載せる場合、携帯電話会社から通信契約を一方的に解約され、携帯電話が使えなくなる可能性があります。携帯電話は今日ではライフラインの一つであり、使用ができなくなることによる生活上の支障は極めて大きいといえます。そこで、原則論を修正する必要がでてきます。

この点について、光熱費等の支払いはライフラインの支払いとして当然に許容されています。そして、携帯電話もライフラインの一つなので、光熱費等の支払いと同じく、割賦代金を支払いは認められるべきです。

このように考えた場合、破産者は、携帯電話会社に受任通知を発送せず、引き続き機種代の割賦代金を支払うことになります。また、申立時、債権者一覧表に割賦代金債務を載せないことになります。

 

4 一括弁済の注意点

破産者が、申立前に、携帯電話の割賦代金の残債務を一括弁済した場合、免責不許可事由(破産法252条3号、時期が義務に属しない弁済)に該当します。

そこで、一括弁済をするのであれば、破産者の親族などに第三者弁済してもらうことになります。

参考:破産法252条3号
「特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、・・・債務の消滅に関する行為であって、・・・時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。」

 

5 最後に

以上、携帯電話割賦代金の支払いと自己破産について説明しました。破産の一般的なことについては関連記事をご参照ください。

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