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コラム:成年後見人と郵便物回送嘱託

2024.02.07
1 はじめに

破産管財人は、破産手続開始決定後、破産者の破産開始決定時の財産(自由財産を除く)について管理権限が発生します。そのため、基本的には破産手続が終了するまでの間、破産者宛ての郵便物は、破産管財人にもとに転送されることになります。

これに対し、成年後見人の場合、審判確定後、成年後見人の財産を管理することになりますが、成年被後見人宛ての郵便物が成年後見人のもとに転送されることはありません。

しかし、成年後見人は、後見人に就任後1か月以内に、成年被後見人の財産、収支状況を家庭裁判所に報告する必要があります(就任時報告)。また、必ず年1回、定期報告をすることになります。

成年後見人が成年被後見人の財産や収支状況を把握することができない場合、これら各種報告を的確に行うことはできません。そのような場合、成年後見人は、成年被後見人宛ての郵便物を開封して、それをもとに財産などを把握する必要が出てきます。

 

2 郵便物回送嘱託

そこで、民法860条の2第1項によれば、「家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは」、成年後見人の請求により、郵便物を成年後見人のもとに回送するよう嘱託することができる、とされています。

注意点としては以下の2点となります。
まず、回送期間が限られており、6か月を超えることができないとされています(同条2項)。伸長は認められておりません。

また、回送嘱託を申し立てることができるのは、民法860条の2第1項が「成年後見人」に限定されているため、成年後見人となります。つまり、保佐人、補助人、未成年後見人は、回送嘱託を申し立てることはできません。

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