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コラム:被害者以外の将来介護費の裁判例

2023.11.22
1 はじめに

交通事故に遭い重篤な後遺障害が残ることになった被害者が自身の将来介護費用を請求するケースはまま見受けらますが、被害者以外の者(例えば夫)が被害者(例えば妻)の交通事故により介護を受けられなくなったとして、加害者に対し、将来介護費用を請求する事案は多くはないと思われます。
そこで、今回は、被害者以外の者の将来介護費が問題となった京都地裁令和4年6月16日(自動車保険ジャーナル2132号掲載)を紹介します。

 

2 事案と判旨
1 事案

原告は、事故当時75歳の男性で、脳梗塞、糖尿病、認知症を患っていました。そのため、原告は、自力で日常生活を送ることができず、事故により亡くなった妻から、食事を始めとする日常生活上の介護を相当程度受けていました。ところが、原告は、妻が亡くなったことにより介護を受けられなくなったため、被告に対して、将来介護費用の請求をしました。

 

2 判旨

民法416条2項によれば、「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」とされています。そこで、将来介護費用が特別損害に該当し、事故と相当因果関係のある損害といえるか否かが問題となりました。

裁判所は、「交通事故の被害者が他人を介護していた場合において、交通事故により介護を受けられなくなった者に生じた損害は、予見不能な特別事情による損害に当たる」とし、「当該事故との間に相当因果関係を欠くものと解される。」とし、原告の将来介護費の請求を認めませんでした。

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