1 はじめに
夫が、妻が無断で離婚届に自身の署名捺印をして役所に届け出たとして、協議離婚の無効を争うケースがあります。
そこで、以下では、協議離婚無効確認訴訟について説明していきます。
2 協議離婚について
協議離婚は、夫婦の双方が離婚に合意し、これを戸籍法所定の方式により戸籍役場に届け出ることによってその効力が生ずるとしています(民法764条、739条)。
そして、ここでいう夫婦の離婚の合意(離婚意思)とは、届出をする意思で足りるとするのが判例の立場になります。したがって、夫婦間に届出についての合意がある場合にはその協議離婚を無効とすることはできません。
3 離婚無効について
夫婦の一方が他方に無断で届け出た協議離婚は、無効となります。この場合、協議離婚の記載のある戸籍を訂正するためには、協議離婚無効確認の調停を申し立てることになります。
そして、調停不成立の場合、協議離婚無効確認訴訟(例えば東京高判平成21年7月16日)を提起する必要があります。
この協議離婚無効確認訴訟は、婚姻無効(民法742条)と異なり、民法上の規定はありませんが、人事訴訟法2条1号では「人事訴訟」として「協議上の離婚の無効・・の訴え」と定めています。