1 はじめに
身柄事件の被告人が、保釈中、実刑判決を受けた場合、判決後直ちに収監されるのか、それとも一定期間猶予があるのかについてなど説明していきます。
また、身柄事件の控訴審で保釈中の被告人について、法改正により、新たに判決宣告期日に出頭義務が課されることになるなどルールが大きく変わりましたので、以下その概要を説明していきます。
2 一審判決の場合
保釈中の被告人は、判決宣告期日に出頭しなければなりません。被告人が出頭しない場合、裁判所は開廷することはできません(刑事訴訟法285条1項、286条)。
判決宣告期日において、被告人に対し実刑判決が言い渡された場合、保釈は失効してしまいます(同法343条)。そのため、被告人は、判決後、直ちに収監されることになります。
ただし、被告人が実刑判決後に控訴すると同時に再保釈請求し、保釈が認められた場合、被告人は収監を一時的に免れることができます。
3 控訴審判決の場合
従前、被告人は、控訴審の公判期日に出頭する義務はありませんでした(同法390条)。そのため、保釈中の被告人は、判決宣告期日に出頭しなくてもよかったので、実刑判決言渡し後、直ちに収監されることはありませんでした。
ところが、令和5年5月17日、刑事訴訟法等の一部を改正する法律が公布されました。この改正により、被告人は、原則として、控訴審の判決宣告期日に出頭しなければいけないことになりました(同法390条の2)。これにより、控訴審で保釈中の被告人は、実刑判決を言い渡された場合、直ちに収監されることになりました。
4 在宅事件の場合
以上は、身柄事件の被告人についてのルールでした。これに対し、在宅事件の被告人は、第1審、控訴審ともに、判決宣告期日で実刑判決を言い渡されたとしても、その直後に収監されることはありません。収監のタイミングは、控訴期間が経過するなど判決が確定した後になります。
5 最後に
以上、保釈中の被告人に実刑判決がでた場合について説明しました。お困りの方は、のむら総合法律事務所までご相談ください。
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