1 はじめに
学生が交通事故で亡くなった場合、逸失利益の基礎収入は、賃金センサス産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基準とするのが原則です。
もっとも、大学への進学が確実である場合、大学卒の平均賃金額を基礎収入とする場合があります。
以下では、インターナショナルスクール3年生の男子学生が交通事故により亡くなった事案において、収入を賃金センサス・男性、大学・大学院卒、全年齢平均賃金とした裁判例(名古屋地判令和3年9月29日、自動車保険ジャーナル2109号掲載)を紹介します。
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2 事案
被害者は、インターナショナルスクールの3年生でした。平成30年9月には大学進学予定であり、本件事故時までに某大学に合格し、入学手続金35万7450円を納付済みでした。他にも他大学の入学願書を提出していました。
被告側は、収入は、産業計・企業規模計・男性・学歴計・全年齢の平均賃金額(558万円ほど)とするべきとしました。
3 裁判所の判断
裁判所は、被害者の学業成績を踏まえて、収入を賃金センサス・男性、大学・大学院卒、全年齢平均賃金としました。
「上記認定事実のとおり、亡Eは本件事故当時、インターナショナルスクールの3年生であり、本件事故前にG大学への入学資格を得ていたことなどの学業成績を踏まえると、亡Eは大学に進学する高度の蓋然性があったと認められるから、亡Eの基礎収入は、平成30年度賃金センサス・男性、大学・大学院卒、全年齢平均賃金である668万9300円とするのが相当である。」
4 最後に
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