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コラム:成年年齢引下げに伴う影響

2024.01.07
1 はじめに

令和4年4月1日より、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました(民法の一部を改正する法律)。これにより、平成16年4月2日生まれ以降の者は、18歳の誕生日を迎えた時点で成年に達することになります。
以下、成年年齢の引き下げによる各種制度の変更点について説明していきます。

 

2 婚姻開始年齢

改正後の条文は、「婚姻は、十八歳にならなければ、することができない。」となっています(民法731条)。

改正前は、男性は18歳、女性は16歳で婚姻することができました。改正法では、女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げることになりました。

婚姻開始年齢が男女18歳で統一されたことにより、未成年者が婚姻するという事態は発生しなくなりました。
そのため、未成年が婚姻する場合は父母の同意を必要とする規定(改正前の民法737条)、未成年者が婚姻した場合の成年擬制の規定(改正前の民法753条)はいずれも削除されることになりました。

 

3 養親年齢

改正後の条文は、「二十歳に達した者は、養子をすることができる。」となっています(民法792条)。「成年に達した者」という文言が「二十歳に達した者」に改正されました。

養親年齢について18歳に引き下げるという議論もありましたが、他人の子を自分の子として育てるという重い責任を伴うことを考慮すれば、養親年齢を18歳に引き下げるのは妥当ではないとされました。

 

4 後見人
1 未成年後見

民法847条1号によれば、「未成年者」は「後見人となることができない。」とされています。また、民法847条の規定は後見監督人について準用されています(民法852条)。

これらの規定は改正前後でなんら文言が変わっていません。したがって、18歳、19歳の者も未成年後見人や後見監督人になることができます。

 

2 成年後見

1で述べたとおり、847条と852条の文言は改正前後で変わっていないので、18歳、19歳の者も成年後見人や後見監督人になることができます。

 

5 遺言執行者

民法1009条によれば、「未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。」とされています。
これらの規定は改正前後でなんら文言が変わっていません。したがって、18歳、19歳の者も遺言執行者未になることができます。

 

6 未成年者取消権

民法5条1項によれば、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」とされています。また、同条2項によれば、「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」とあります。

このように、契約締結の際の業者の勧誘文や態様、契約者側の認識などに関わらず、契約者が契約締結時に未成年であったという理由のみで契約関係から離脱できるため、実務上は未成年者が消費者契約のトラブルに遭ったときに、契約を解消して被害を救済するについて絶大な効力を発揮する手段となっていました(家庭の法と裁判37号17頁以下)。

ところが、成年年齢の引き下げにより、18歳、19歳の者は未成年者取消権を行使することができなくなりました。

とはいえ、18歳,19歳の者は、知識、経験、判断力が不足しているため、業者との契約交渉などにおいて合理的な判断を下すことは難しい場合もあります。

そこで、消費者契約法は、18歳,19歳の者を救済するため、各種取消権が新たに設けられることになりました。もっとも、適用場面が限定的であるといった批判もあるところです。

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