1 はじめに
購入後短期間しか経過していない車両が交通事故によって物理的に修理不能となった場合、新車価格の賠償が認められるのか、それとも新車価格から一定程度減価されるのかが問題となります。
というのも、購入後短期間しか経過していない車両であっても、いったん所有名義の登録がなされた場合は中古車として扱うことになり、新車と同じように扱うことができないとされているからです(いわゆる登録落ち)。
以下では、大型自動二輪車を購入し引き渡しを受けた直後に事故に遭い物理的全損となり、車両の損害額が争点となった裁判例である東京地判令和3年6月25日(自動車保険ジャーナル2022号掲載)をご紹介します。
2 事案の内容
1 被害車両について
裁判所が認定した事実によれば、原告の大型自動二輪車(以下「原告二輪」という。)の前方部位が大破し、ホイール、サスペンション等の部位が大きく変形し、物理的全損となりました。
また、原告が原告二輪の引き渡しを受けたのは、本件事故の7日前でした。
2 当事者の主張
原告は、事故当時の車両の価額は原告二輪の購入価格と同額である、と主張しました。
被告は、原告二輪の市場価格=購入価格と同額であると評価することはできない、と主張しました。
3 裁判所の判断
裁判所は「引き渡しを受けた二輪車の時価は購入価格から一定程度下落すると考えられ、これを覆すに足りる事情もないから、原告二輪の購入価格と同額であるという原告の主張は理由がない。引き渡し日が本件事故の7日前であることを考慮し、購入価格の85%とするのが相当である。」としました。
3 最後に
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