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コラム:残業代請求と休憩時間

2024.03.01
1 はじめに

残業代請求事件では、労働者側が、労働契約上、休憩時間が設けられているものの、実質的には休憩時間を取ることなく働いていたなどと主張し、休憩時間をも労働時間に加算して残業代を請求することがあります。そこで、昼休憩時間が労働時間といえるかが争いになった東京地判平成17年11月11日を紹介します。

 

2 東京地判平成17年11月11日
1 事案の概要

①本件SSの勤務形態は三交代制が基本となっており、各日にちの各勤務形態の勤務者は原則として一人である。

②被告の「休憩時間についてのお知らせ」によると、一定の時間に10分間の休憩を取るよう指示されていた。もっとも、「但し、申し訳ありませんがその間も営業に支障をきたさないように、業務を優先して行って下さい。休憩時間内に業務を行った場合にはその分を振り替えて他の時間に取って頂けるようお願いします。」とも記載されていた。

③「入社のしおり」には、勤務時注意事項として、「勤務中は給油所敷地内から出られませんので、食事・飲み物・常用のお薬などは、各自で用意持参して下さい。」とされ、スタンド内敷地から休憩時間であっても出ることないように指示されていた。

④このため、原告らは、顧客対応においては、食事をしていても顧客が来れば途中でやめざるを得ず、トイレに行くこともままならないこともあったほか、それ以外の時間にあっても被告が指示するように各時間ごとに10分間の休憩を取ろうとしても、給油所の敷地内から出ることが許されない状態にあった。

 

2 裁判所の判断

裁判所は、以下のとおり休憩時間もいわゆる手待時間にあたり、実労働時間と判断しました。

「そもそも労働基準法上の休憩時間とは、サービス業の特例を除いては、労働者が労働時間の途中において、休息のために労働から完全に解放されることを保障されている時間を意味する(自由利用の原則)。」

「本件SSにおける原告らの勤務状況及び実態からはこのような休憩時間の自由利用が阻害されているものといわなければならない。そして、被告が主張するような顧客が途切れて原告らがスタンド内で待機している時間に休憩が取れるはずであるとするところも、詰まるところ自由利用の保障のないものであることからすると、手待時間と評価すべきであり、実働時間に組み入れて考えるべき性質のものと認められる。」

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