１　はじめに

ある日、突然、見知らぬ業者から、ずいぶん前に借りて返済できずにいた借金の書類が届くことがあります。そして、そこには「回収受任通知兼請求書」、「催告書」、「事前連絡のお知らせ」、「訴訟予告通知書」などと記載されている場合があります。

この場合、焦って書面に書いてある電話番号に電話したり、少しでも返済してしまうことは避けなければなりません。というのも、消滅時効の可能性があるところ、返済等をしてしまえば時効の主張をすることができなくなるからです。

そこで、以下では、時効について一般的なことを説明した後、債権者ごとに消滅時効が問題となった具体的なケースについて説明していきます。

２　消滅時効について

最後に返済してから５年以上経っている場合、当該債権は、時効期間が経過しています。その場合、債務者は、時効援用の意思表示を内容証明郵便などで行えば債務は消滅し、支払い義務を免れることができます。

もっとも、例外として、債権者が時効期間経過前に債務者に対し訴訟を提起したり、支払督促の申立てをしていた場合は、時効期間は伸びることになるので注意が必要です。

３　具体的なケース

１　株式会社ギルド

１０年以上前にハッピークレジット株式会社での借入れをした件について、ある日突然、株式会社ギルドから簡易裁判所に訴えを提起されることがあります。この場合、答弁書に時効援用の意思表示を行う旨記載して裁判所に提出すれば、株式会社ギルドは訴えを取り下げることがあります。

２　ティーアンドエス

ティーアンドエスは、東京の貸金業者で、時効期間を経過した債権を安価で譲り受けるなどして、債務者に請求書を発送したり、自宅訪問するなどして、返済を求めてきます。

ティーアンドエスは、ネットコミュニケーションズ（大阪の会社）に債権回収を委託することがあります。そして、同社の社員が自宅を訪問してくる場合もあります。訪問時、「返済します」などと言ったり、少額でも返済してしまうと、債務承認となり、時効を援用できなくなりますので、注意が必要です。

３　ニッテレ債権回収会社

日テレ債権回収会社は、例えば過去にヤマトクレジットファイナンスと取引があった場合に登場する会社です。

同社は、最後に返済してから１０年以上経過した後も、最新の住所を調べるなどして請求書を発送してくることがあります。遅延損害金が元本の２倍以上に膨れ上がっているような場合、時効期間が経過している可能性が高いと思われます。

４　オリンポス債権回収会社

オリンポス債権回収会社の場合、時効期間が経過しているにもかかわらず、簡易裁判所に支払督促を申し立てることがあります。

この場合、債務者は、督促異議を申し立て、移行後の訴訟の中で時効援用の意思表示を行うことになります。

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５　日本保証

日本保証は簡易裁判所に１０年以上前の債務名義に基づき承継執行文を付与を求めることがあります。
この場合、時効期間が経過しているので、時効援用通知を送れば、債務は消滅します。また、強制執行してきた場合、時効援用による債務消滅を理由に請求異議を行うことになります。

３　最後に

以上、時効援用による債務整理について紹介しました。事情により時効援用が認められない場合であっても、任意整理をしたり、裁判所に破産や個人再生を申し立てることにより、債務の返済を免れたり、債務を減額することができます。任意整理、破産、個人再生についての解説記事は関連記事をご確認ください。

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