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コラム:交通事故と非器質性精神障害

2024.01.14
1 はじめに

被害者が交通事故により精神的な異常を発症した場合、いわゆる非器質性精神障害として、後遺障害に認定されることがあります。

 

2 非器質性精神障害
1 後遺障害等級

非器質性精神障害は、9級、12級、14級に認定されることになります。

非器質性精神障害は、適切な治療を受けることにより症状が完治する可能性がある障害とされていること、身体的機能に障害がないことから、9級や12級といった等級がつくことは少ないとない言われています。

 

2 労働能力喪失期間

非器質性精神障害に14級以上の等級がついたとしても、適切な治療を受けることにより症状が完治する可能性がある障害と解されていること、精神的障害による労働能力の低下への影響は様々であり画一的に判断できるものはないことから、裁判例において労働能力喪失期間が限定される傾向にあります。

 

3 素因減額

非器質性精神障害は、同様の外傷的出来事を体験しても、PTSDを発症しない者のほうが圧倒的に多いという考え方に基づき、個人の有する精神的脆弱性が損害の発生や拡大に寄与したとされる傾向があります。

裁判例では、1~3割程度の素因減額がなされる傾向にあります。

 

3 PTSD

PTSDとは、心的外傷後ストレス障害の略語です。衝撃的な体験により、心に大きな傷を負った結果、再体験症状、回避・麻痺症状、精神亢進症状などを発症し、日常生活に支障を来たす疾患のことをいいます。

かつて、交通事故によって精神的異常状態が発生した場合、PTSDに該当するかが争われたことがありました。もっとも、PTSDは診断基準に基づき厳格に判断するべきであるとする実務的な運用が確立したため、現在では、PTSDの該当性が争点となることはほとんどないといわれています。

※参考 PTSDの診断基準
①自分又は他人が死亡し又は重症を負うような外傷的な出来事を体験したか
②外傷的な出来事の苦痛の記憶が反復的に繰り返されているか
③外傷的出来事に関連する刺激を持続的に回避しているかどうか
④持続的な覚醒亢進症状があるか

 

4 最後に

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