1 はじめに
個人事業主や法人(株式会社や有限会社)がテナントを借りて事業をしており、破産申立てをすることになったとします。
この場合、個人事業主や法人は、破産申立代理人に対する弁護士費用だけでなく、破産予納金を準備しなければなりません。
破産予納金を準備できなければ破産手続を進めることができないので、破産予納金としていくら準備する必要があるのかが問題となります。
2 通常の管財事件
神戸地方裁判所の場合、破産予納金は、個人事業主の場合は50万円以上、法人の場合は70万円以上といった運用となっています。
したがって、賃借物件が明渡し未了の状態で申立てをする場合、破産予納金として50万円以上を準備しなければなりません。また、原状回復を要する場合は、原状回復費用相当額も用意する必要があります(見積書の提出を求められます)。
なお、通常の管財事件の破産予納金は、法人であれば70万円となっていますが、裁判所と協議し、50万円に減額となったケースもあります。
3 賃借物件を明け渡した場合
破産申立代理人において賃借物件の明渡しを行った上で破産申立てを行う場合、破産予納金は20万円となります。
したがって、破産者において破産予納金(原状回復費用を含む)を準備することができない場合、破産申立代理人が賃貸人と交渉し、賃借物件の明渡しまで済ませた上で、申立てを行うことになります。
その場合、賃貸人に鍵を返還したことを証する書面、賃貸借契約が終了したことを証する書面を破産管財人に提出することになります。
4 最後に
以上、賃借物件がある場合の破産予納金について説明しました。企業の破産、自己破産についての一般的な解説については関連記事をご参照ください。
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