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コラム:遺産分割と葬儀費用の負担者

2024.01.12
1 はじめに

被相続人が葬儀会社との間で予め自らの葬儀に関する契約を締結せずに亡くなった場合において、相続人の一人が葬儀を執り行ったとします。

この場合、前提として、葬儀費用支払債務は、相続開始後に発生したものなので、遺産分割の対象にはなりません。
また、葬儀会社との関係では、喪主が葬儀会社と契約しているため、喪主が葬儀会社に対し葬儀費用を支払う義務があります。

では、複数の相続人がいる場合、葬儀費用は遺産分割においてどのように処理することになるのでしょうか。

 

2 喪主負担説
1 内容

喪主が葬儀費用を負担するべきとする考え方になります。

 

2 裁判例

名古屋高裁平成24年3月29日判決は、以下のとおり、喪主が葬儀費用を負担すべきと判示しています。

「亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配等して挙行した者が負担し、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である。
なぜならば、亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式を行うか否か、同儀式を行うにしても、同儀式の規模をどの程度にし、どれだけの費用をかけるかについては、もっぱら同儀式の主宰者がその責任において決定し、実施するものであるから、同儀式を主宰する者が同費用を負担するのが・・・相当であるからである。」

 

3 相続人又は相続財産負担説
1 内容

相続人が相続分に応じて負担するべき、あるいは、相続財産から負担するべきという考え方になります。

 

2 問題点

喪主が他の相続人に告知せず葬儀を執り行い、しかも葬儀費用が相場よりも高額だったとします。この場合、他の相続人は、高額な葬儀費用を相続分に応じて負担しなければならないのか、あるいは相続財産から負担することになるのかについて納得しない可能性があります。

 

4 最後に

遺産分割について一般的なことは関連記事をご参照ください。

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