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コラム:内縁配偶者が共有不動産を単独で使用した場合

2024.02.14
1 はじめに

内縁関係にある夫婦が、2分の1ずつの割合で不動産を共有し、一緒に暮らしていたとします。このようなケースで、一方の内縁配偶者が亡くなった後、他方内縁配偶者は、当該共有不動産を単独で使用することにより、その賃料相当額の2分の1を法律上の原因なく利得しているとして不当利得返還義務を負うことになるのかが問題となります。

以下、上記が問題となった最判平成10年10月26日を検討していきます。

 

2 事案

甲と乙とは、昭和34年頃から内縁関係にあって、楽器指導盤の製造販売業を共同で営み、本件不動産を居住及び右事業のために共同で占有使用していました。

本件不動産は、甲と乙との共有財産であり、甲がその2分の1の持分を有していました。

乙は昭和57年に死亡し、本件不動産に関する同人の権利は、乙の子である丙が相続により取得しました。

甲は、乙の死亡後、本件不動産を居住及び右事業のために単独で占有使用しています。

そこで、丙は、甲に対し、甲が本件不動産を単独で使用することによりその賃料相当額の2分の1を法律上の原因なく利得しているとして、不当利得返還を求めました(一審、二審は丙の請求を認めた)。

 

3 裁判所の判断

内縁の夫婦がその共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用してきたときは、特段の事情のない限り、両者の間において、その一方が死亡した後は他方が右不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認するのが相当である。けだし、右のような両者の関係及び共有不動産の使用状況からすると、一方が死亡した場合に残された内縁の配偶者に共有不動産の全面的な使用権を与えて従前と同一の目的、態様の不動産の無償使用を継続させることが両者の通常の意思に合致するといえるからである。」

その上で、裁判所は、本件事実関係からして、特段の事情のない限り、甲乙の間において、その一方が死亡した後は他方が本件不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認するのが相当と判断しました。

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