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コラム:自賠責による後遺障害認定

2024.01.12
1 はじめに

交通事故に遭い、通院治療を継続したにもかかわらず、症状がこれ以上よくならず残存してしまった場合、自賠責保険に後遺障害等級認定を求めることになります。

以下では、後遺障害等級認定について説明していきます。

 

2 概要

後遺障害等級認定を求める方法は2種類あります。

1つ目は、事前認定です。これは、加害者の任意保険会社が資料を収集して自賠責保険へ申請する方法です。

2つ目は、被害者請求です。これは、被害者自身が加害者側の自賠責保険会社に申請する方法です。

事前認定、被害者請求ともに、受付の窓口となるのは加害者側の自賠責保険会社になります。もっとも、認定行うのは、損害保険料率算出機構が設置する自賠責損害調査事務所になります。

 

3 被害者請求の方法
1 自賠責保険会社を特定

被害者は、被害者請求先である加害者が加入する自賠責保険会社を調べる必要があります。

加害者の自賠責保険会社は交通事故証明書の甲欄に記載してあります。そこで、被害者は、交通事故証明書を取得することになります。

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2 被害者自ら申請

被害者は、交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、後遺障害診断書、診療報酬明細書(レセプト)などの資料を自ら揃え、加害者側の自賠責保険会社に申請を行うことになります。

加害者側の任意保険会社が一括対応していた場合、同社は診断書、診療報酬明細書(レセプト)を病院から取得しているはずです。そこで、被害者は、加害者側の保険会社から、それらのコピーの提供を受けることにより、自ら取得する手間を省くことができます。

もっとも、加害者側の任意保険会社から提供してもらえるのは、一括対応がなされていた期間分に限られます。したがって、被害者が、一括対応打ち切り後、自費で通院をしていた場合、その間の診断書などを取得する必要があります。

なお、被害者が、健康保険を使って通院を継続した場合、自賠責の定型用紙による診断書、診療報酬明細書を書かない病院も散見されるので、事前に確認するなど注意が必要です。

 

4 被害者請求のメリット
1 透明性の高い手続となる

事前認定手続の場合、加害者側の任意保険会社が申請を行うので、自賠責保険に対しどのような資料が送られているのか明らかではありません。

これに対し、被害者請求の場合、被害者側で提出書類を収集して、任意の資料を自賠責保険に送ることができます。

 

 

2 先に賠償額を受け取ることができる

被害者請求の場合、後遺障害が認められた場合、自賠責分の賠償金を示談前に取得することができます。例えば、14級9号が認められた場合、被害者が指定した口座に自賠責保険会社から75万円が振り込まれることになります。

 

5 被害者請求のデメリット

被害者自身が申請のための資料を取得しなければいけないので、煩雑であるという点があります。

例えば、被害者が自賠責に申請をした後、自賠責の調査事務所から、病院からレントゲンなどの撮影画像を取得し、追完するよう求められることがあります。

特に、被害者が複数の病院に通院していた場合、すべての病院からレントゲンなどの撮影画像を取得しなければなりませんので、手間と時間がかかります。

そこで、事前認定、被害者請求とでおよそ結論が変わらない後遺障害の場合、典型的には醜状痕の場合、事前認定を選択してもよいと思われます。

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