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コラム:債務整理の方法とメリット・デメリット

2024.02.18
1 はじめに

債務(借金)整理の方法は、大きく、①任意整理、②自己破産、③個人再生の3つがあります。以下、それぞれの手段についてメリット、デメリットを説明していきます。

 

2 任意整理
1 任意整理とは

弁護士が、各債権者と交渉し、将来利息をカットした上で、通常3~5年で分割返済していく合意を交わす方法になります。

 

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2 メリット

例えば、債務者が職場からも借用していたとします。自己破産、個人再生の場合、職場にも受任通知を送らなければいけませんので、職場に債務整理中であることが知られてしまいます。これに対し、任意整理の場合、職場には受任通知を送らず、職場以外との債権者のみ交渉することができますので、職場に知られることはありません。

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✔その他のメリットについての解説記事はこちら▶コラム:破産・再生ではなく任意整理をする場合

 

3 デメリット

任意整理の場合、将来利息はカットしてもらえるものの、元本については基本的にはカットしてもらえません。そのため、借金の総額が300万円を超えてくると、任意整理をしたとしても、毎月の返済額は高額になり、苦しい状態は変わりません。

また、債権者が5社以上の場合、任意整理の場合は債権者ごとに交渉することになるので、強弁な債権者がいれば、任意整理ができない可能性があります。また、債権者の数に比例して弁護士費用が加算されるので、債権者数が多い場合、最終的な弁護士費用は高額になりがちです。

 

3 自己破産
1 自己破産とは

すべての借金を支払うことが不可能な場合、99万円以内の自由財産を残しつつ、借金全額の支払いを免れることができる手続になります。

 

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✔自己破産についての解説記事はこちら▶自己破産

 

2 メリット

任意整理や個人再生の場合は一定額を支払う必要があるのに対し、自己破産の場合は借金全額(ただし公租公課等を除く)の支払いを免れることができるので、もっとも経済的更生に資する手続といえます。

 

3 デメリット

例えば借金が膨らんだ原因がギャンブルやキャバクラなど浪費の場合、免責不許可事由に該当するので、裁量免責が認められず、借金が免責されない可能性があります。

また、浪費など免責不許可事由が存在する場合、破産管財人から借金が膨らんだ原因について詳しく説明を求められたりするなど、最終的に免責決定を得るまでに労力を要する場合もあります。

さらに、自己破産の場合、破産手続開始決定から免責決定が確定するまでの間、警備員や保険外交員を生業としている債務者は業務ができなくなります。この資格制限については関連記事をご参照ください。

また、自己破産をする場合、マイホームは基本的には換価されることになるので、手放すことになります。

なお、直接の影響はありませんが、破産手続が開始されたことは官報に公告されることになることもデメリットの一つといえます。

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✔警備員の資格制限についての解説記事はこちら▶コラム:破産と警備員の資格制限

 

4 個人再生
1 個人再生とは

支払不能のおそれがある場合、最低弁済額(例えば債務総額が500万円以下の場合は一律100万円)と清算価値(保有財産の額)のいずれか高い方を、原則3年、特別の事情がある場合は5年で返済していく手続になります。

 

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✔個人再生についての解説記事はこちら▶個人再生

2 メリット

任意整理の場合は元本をカットすることはできませんが、個人再生の場合は元本の一部もカットされることになります。例えば、借金が400万円の場合、個人再生が認められれば、総額100万円を返済すれば足ります。つまり元本のうち300万円がカットされることになります。

自己破産の場合、浪費など免責不許可事由がある場合は免責が認められなかったり、破産手続に誠実に協力しなければいけないなどの負担がありました。これに対し、個人再生の場合、借金が膨らんだ原因は基本的には問われない上、書面審査なので手続協力への負担感は破産手続ほど大きくないともいえます。

さらに、破産の場合、一定の資格に基づき働いている方は免責決定が確定するまでその仕事に従事することができませんが、個人再生の場合はそのような資格制限が一切ありませんので、手続中も従前どおり働くことができます。

そして、債権者が多数いる場合(5社以上の場合)、任意整理の場合、全ての債権者と条件交渉しなければならず、弁護士費用も高額になりがちですが、個人再生の場合は債権総額の半数以上が再生計画案に反対しなければ認められるので、任意整理のような煩わしさはありません。

また、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、自己破産であれば手放すことになります。これに対して、個人再生であれば、住宅資金特別条項を付けることにより、住宅ローンはそのまま払いつつ、それ以外の借金について圧縮した金額を支払うことにより、マイホームを残すことができます。

 

3 デメリット

自己破産の場合、免責決定が出れば借金全額の支払いを免れることができますが、個人再生の場合は借金の一部を払わなければいけません。例えば、借金が400万円の場合、自己破産の場合は免責決定が認められれば全額の支払いを免れることになります。これに対し、個人再生の場合、認可決定が認められれば300万円の支払いを免れることができますが、原則3年にわたって総額100万円を返済しなければなりません。

個人再生の場合、手続が開始された後も数か月間、家計収支表を作成しなければなりませんし、毎月、相当額を積み立てなければいけませんので、一定の負担が生じることになります。

最後に、実際の支障はありませんが、破産手続同様、個人再生手続が開始されたことは官報に公告されることになりますので、デメリットの一つといえます。

 

5 まとめ

以上、任意整理、自己破産、個人再生について、それぞれのメリット、デメリットを説明していきました。のむら総合法律事務所では、個々人の借金状況、借金が膨らんだ原因、家計の収支状況、財産状況、将来のライフイベントなどの様々な事情をお聞きして、3つの中から最適の手段を選んできます。借金でお困りの方は、一度、ご相談にお越しください。

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